2019年度前期 開講講座
5月11日(土) 13時~16時30分
テーマ
 3・1独立運動100年と朝鮮半島のいま
──連続講座「朝鮮半島からみた日本の歴史」開催にあたって
講師=康成銀(カンソンウン)(朝鮮大学校朝鮮問題研究センター長)


1、朝鮮半島からみた日本の歴史
 朝鮮半島と日本は、古代より深いつながりを持っていた。にもかかわらず、明治維新を境に、アジアの盟主を夢見て帝国主義の道を歩んだ日本は、隣国の朝鮮をあたかも目下の民族であるかのように見下し、戦争に次ぐ戦争と、35年間に及ぶ植民地支配の末、1945年に無条件降伏をさせられた。しかしその根は完全に掘り起されはしなかった。隣りあう朝鮮半島と日本の歴史を、1年間のシリーズを通じて学んでいく。
 講師=康成銀(カンソンウン)(朝鮮大学校朝鮮問題研究センター長)
①5月11日(土) 3・1独立運動100年と朝鮮半島のいま
 ──連続講座「朝鮮半島からみた日本の歴史」開催にあたって
②6月12日(水) 朝鮮と日本の住民の成り立ち
 ──倭の王権と朝鮮( 高句麗、百済、新羅、伽耶)
③7月10日(水) 「日本」の成立と新羅・渤海
 ――モンゴルの来襲と東アジア
④8月21日(水) 室町時代・織豊政権期・江戸時代の日本と朝鮮
 ──交隣、その虚実
⑤9月18日(水) 近代日本の朝鮮侵略
 ──明治維新・日清戦争(第一次朝鮮・東北アジア戦争)

〈後期(2019年11月~ 2020年3月)の講座テーマ〉
⑥日露戦争(第二次朝鮮・東北アジア戦争)と韓国強制「併合」
⑦日本の朝鮮植民地支配と民族解放闘争
 (第三次朝鮮・東北アジア戦争)
⑧解放と分断──日本の「戦後民主主義」と朝鮮戦争
 (第四次朝鮮・東北アジア戦争)
⑨21世紀の朝鮮と日本──脱植民地主義・脱冷戦

2、掘りくずされる憲法秩序と象徴天皇制
 内政・外交ともに難問山積、差別と抑圧・生きづらさが充満する社会の閉塞状況を覆い隠すように、排外思想の根源である天皇制への国民的関心を掻き立てる「代替わり」儀礼の空騒ぎがマスメディアを総動員して進行中である。「主権者」としての自覚の欠如が招く民主主義の空洞化をいかに打開するか。受講者のみなさんとともに考えたい。
①5月18 日(土) 日本国憲法と天皇制
 ──「代替わり」騒ぎのなかで改めて考える
 講師=清水雅彦(日本体育大学教授・憲法学)
②8月24 日(土) 参戦国家化の中の天皇代替わり報道を問う
 ──30年前を参照しながら
 講師=中島啓明(ジャーナリスト)

3、階級消滅論・階級協調幻想を打ち砕こう!
 「経営者目線で考えろ」「労働者が生産性向上に協力するのは当然だ」との風潮がまかり通っている。しかし本質は違う。支配階級は、起ち上がる労働者には徹底的な弾圧と排除、組合つぶしで臨み、その影響力を根こそぎにしようとする。ともに学び、資本のイデオロギーから峻別された階級意識、価値観を確立しよう。それが、日朝連帯をはじめとするインターナショナルな労働者の連帯の基盤ともなるのだ。
①6月1日(土) 労働組合で取り組む日朝連帯活動
 ──群馬の森・朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑裁判に取り組んで
 講師=倉林 誠(国労高崎地本書記長)
②6月26日(水) 関西生コン支部への弾圧を許すな!
 ──財界・国家権力一体となった組合潰しに負けない
 講師=小谷野毅(全日本建設運輸連帯労組書記長)
③7月3日(水) 労働者としていかに生き活動するのか?
 ──国鉄からJRの現場で40年闘って
 講師=青柳義則(国労東京・中部全労協議長)
④9月11日(水) 労働者階級は厳然と存在する
 ──AI、IoT、階級消滅論のデタラメさ
 講師=山下勇男(社会主義理論研究)

4.大西巨人『神聖喜劇』を読む
 ── 光文社文庫版(全五巻)をテキストに
 アドバイザー=立野正裕(元明治大学教員)
       山口直孝(二松学舎大学教員)
 アジア太平洋戦争中の対馬兵営を舞台に、青年知識人東堂太郎が不条理に抵抗しながら回生していくさまを描いた本作は、20世紀文学の傑作と評価されている。全五巻、文庫本で2,500ページの大作を読み、主人公たちがたたかう精神をいかにつちかい、連帯する可能性をはぐくんでいったかを検証し、その今日的意義を探っていく。
①5月29日(水) 第五部 雑草の章
 ――「道義および公正」の模索 (光文社文庫版第三巻)
 報告=杉山雄大         
②6月29日(土) 第六部 迷宮の章
 ――「芸術家」であろうとする心構え (光文社文庫版第三巻)
 報告=渥美 博     
③9月21日(土) 第七部 連環の章(第一~第四)
 ――「(悪質)転向者」との闘争  (光文社文庫版第四巻)
 報告=HOWS受講生<交渉中>
 このシリーズは、受講生が分担して報告を行ないます。後期も3回予定して
います。

5、インターナショナルな思想を学ぼう! 諸国人民の経験から学ぼう!
 支配階級は階級意識を隠すことなくマスメディアを駆使し労働者人民に攻撃を加えている。一方、闘う主体の側はマスメディアなどで浸透し創り上げられた大衆意識に迎合し自らの主張を明示出来ないでいる。闘う諸国人民の経験から学び国境を越えて連帯する思想の形成と実践が主体の確立に必須の課題である。
①7月13日(土) 新たな歩みを進める社会主義キューバ
 ──2019キューバ訪問団の報告と映像         
 報告=田沼久男(HOWS受講生)、村上理恵子(HOWS受講生)
中村泰子(HOWS受講生)
②9月28日(土) ニカラグアを知ろう
 ──過去と現在、サンディニスタ革命40周年
 講師=ロドリゴ・コロネル(ニカラグア共和国駐日特命全権大使)

6、世界の短編小説を読む
 今期はシチリア文学の特集である。古来複雑な曲折をたどり、つねに歴史の
重要な舞台に登場させられてきたシチリア。地中海特有の風土と歴史があい
まって、たぐいまれな文学の沃土が形成され、幾多の才能を輩出させてきた。
近代以降の代表的な四人の作家を取り上げる。
 課題作品はすべて『短篇で読むシチリア』(武谷なおみ編訳、みすず書房)
に収録されている。 (開始時間は各回とも午後6時30分)
 講師=立野正裕(元明治大学教員)
①5月22日(水) ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランぺドゥーザ作
       「幼年時代の場所」

②6月5日(水)  ジョヴァンニ・ヴェルガ作 「金の鍵」「ルーパ」
③8月28日(水)  フェデリーコ・デ・ロベルト作 「ロザリオ」
④9月25日(水)  ルイージ・ピランデッロ作 「真実」「免許証」
〈附記〉ランぺドゥーザの代表作『山猫』、ヴェルガの代表作『マリヴォルガ家の人々』、ピランデッロの『カオス・シチリア物語』などは映画化されている。
シチリア理解を深めるため、紹介かたがた講座で、もしくは日時を設定して適宜上映したい。

7、映像を通して考える現代社会
①6月15日(土) 『泥ウソとテント村──東大・山形大廃寮反対闘争記』
 (2004年 110分 制作=小川町シネクラブ、演出=新田進)
 報告=藤原 晃(教育労働者)、大屋敷健二(元山形大学寮生)
 ※元山形大学学寮・東大駒場寮生、現京大吉田寮生も参加予定
②8月31日(土) 『チリの闘い』第一部:ブルジョワジーの叛乱
 (1975年・チリ=フランス=キューバ 96分 監督=パトリシオ・グスマン)
 解説=井野茂雄(文化活動家)
③9月7日(土) 『未知への飛行 フェイル・セイフ』
 (1964年・アメリカ 112分 監督=シドニー・ルメット)
 解説=立野正裕(元明治大学教員)

8、この人にきく
①7月6日(土) 福島原発事件から8年の現実
 講師=國分富夫(相双の会会長)
②7月17日(水) 湯地朝雄の文芸批評
 ──芸術運動と国際連帯
 講師=山口直孝(二松学舎大学教員)
③7月20日(土) 現代世界の対立構図
 講師=鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授)
④9月14日(土) 沖縄戦の記憶と辺野古反基地闘争
 ──『遅すぎた聖断』を上映
 講師=青木初子(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)