HOWSで学ぼう
抵抗と変革を志すひとびとへ


主体的に、物事を突き詰めて考えて行く場としてのHOWS
 2019年度前期のHOWSは、天皇代替わりが作りだす大波に抗してはじまります。すでにマスメディアを中心に「令和」礼賛ムードが醸成されています。そのようなときこそ、いっそう知性の眼を見開かねばなりません。
 ことし二月、文喜相(ムンヒサン)韓国国会議長は、「戦争犯罪の主犯」である昭和天皇の息子・平成天皇に、被害当事者へ謝罪することを求めました。日本政府はこの発言を「甚だしく不適切」「極めて遺憾」と表明しました。しかし、何がどう「不適切」なのかは言及しませんでした。なぜなら「不適切」であることの証明は、昭和天皇に戦争責任のないことを明らかにするほかないからです。かれらは戦争責任が問題化されることを恐れたのです。
 この事実が示すように、抑圧体制は自国民が思考することを憎みます。支配階級にとって天皇制の存続が切実至上であるのは、天皇という象徴を戴く限り、思考の及ぶことの不可
能な領域を少なくとも一つは確保することができるからです。
 かつて作家の大西巨人氏は、現代の問題を「戦争体験の風化」に即して語ったことがあります。そこで大西氏は、ほんとうに恐れるべきは「物事を突き詰めてまともに考えて行くこ
との風化」であることを述べました。HOWSは多様な講座を企画していますが、いずれの講座にも共通するのは、この「物事を突き詰めてまともに考えて行く」姿勢です。
 今期から、「朝鮮半島からみた日本の歴史」と題して、康成銀(カンソンウン)氏を講師に招き連続講座をもちます。わたしたちは、歴史と文化すなわち人間の営みが、孤立したものでないことを学ぶはずです。「わが国固有の文化」というまやかしを知り、同時にその虚偽を暴力によって朝鮮の人びとに強制させてきた日本の歴史に直面するでしょう。
 いまこの社会を生きにくいと漠然と感じている多くの人が存在します。「生きにくさ」の原因はどこにあるのか。労働現場での具体的な取り組みからなされる報告は、「生きにくさ」を強いる支配階級の正体を暴露するでしょう。
 大切なことは主体的意識をもつことです。近年#Me Too、With You運動が希望的に話題にされます。しかし「わたしも」「あなたと」という意識には、「わたし」という当事者意識が決定的に欠如しています。まずは、ひとりですっと立ってゆくことです。そのような個人個人の連帯が、社会を変革し得ると信じ、HOWSで皆さんとお会いできることを心待ちにしています。

●HOWSとは?
 2000年に開講したHOWSでは、さまざまなテーマをつうじて、わたしたちが生きる21 世紀の現代世界がいったいどのような姿をしているのか、そしてそれにわたしたちがどのようにかかわり、変革の担い手になりえるのかを一貫して追求してきました。HOWSは講座に参加する全員で、この社会を根底から変革する思想と文化の創造、その方法をも探求する場を創りあげることをめざしています。「講師=教える人」、「受講生=教えられる人」ではなく、ともに討論していく場です。1回の講座で問題がすべて理解でき、解答が与えられるかと言えば、必ずしもそうならないこともあります。また講座に参加したことによって、新たな疑問や課題が見つかることもあります。問題を多角的かつ、継続的に考えることができるのも、HOWS講座の魅力です。
 現代への疑問と不満を抱き、その矛盾の解決をめざし、そのための真実の思想と文化を求めるあなたの参加を待っています!