HOWSで清水早子氏が沖縄・宮古の状況を報告
宮古島への陸自配備と闘おう!

 六月三日に開催されたHOWS講座「戦争と基地を拒否する沖縄の声を聞け――琉球列島・宮古島で進行する『陸自配備計画』の実態」は充実した内容。宮古島の近況を伝える映像資料が映されたあと、講師の清水早子さん(宮古平和運動連絡協議会共同代表・止めよう「自衛隊配備」宮古郡民の会事務局長)から約一時間半にわたって報告があった。直面する「島の軍事要塞化」との闘いだけでなく、清水さんがこれまで執筆してこられた宮古島の地勢、歴史、あるいは琉球王国における中央(那覇)と離島との関係についてのレポートなどを縦横に活用した厚みのあるもので、運動の蓄積を感じた。この日の講座には中原道子さん(VAWW RAC共同代表)もいらしていたが、中原さんたちの尽力で日本軍「慰安婦」祈念碑が宮古島に建立されたのは二〇〇八年のことだ。島には戦時中一七か所の「慰安所」があった。一九六五年、米軍命令による製糖工場合併に反対した農民らに沖縄で初めて騒乱罪が着せられた事件(のちに無罪が確定)は島ぐるみ復帰運動への発火点となった。
 宮古島の水源は「地下を川が流れている」ような地球上でも希少なもので、基地を建設すれば、そんな貴重な自然が汚染される。また猛毒のハブがいない。そのかわりパイナップルは収穫できない。パイナップルの産地はハブの棲息地でもある。ハブがいなくてパイナップルも獲れないというのは地質に関係があるらしい。そんな話も興味深かった。
 一月の宮古島市長選挙では、陸自ミサイル部隊配備計画受け入れの現職に対して「配備断固反対」で挑んだ奥平一夫候補が九五八八対九二一二の僅か三七六票差で敗れた。その前後の状況については清水さんの本紙三月十五日号寄稿に詳しい。「オール沖縄」共闘体制に対する権力側のなりふり構わぬ攻撃が始まっているということだ。たとえば安慶田・沖縄県元副知事の「口利き疑惑」スクープは誰がリークしたのか。それは安慶田氏が配備反対派の応援に宮古島に入ろうという直前のことであった。闘いの場では、非暴力で座り込む人びとを排除する際に巧妙に暴力を振るう。その振るい方がどんどん手荒になっている。
 講座から一日おいた五日は六月の第一月曜日。市ヶ谷の防衛省前で月一恒例の抗議行動が午後六時半から行なわれ、わたしも参加した。夕立が来て雷が轟く下、都心ではふだん目にしない「宮古平和運動連絡協議会」の旗がある。清水さんはここでもマイクを握り、行動の最後には防衛省あての要請文を力強く読み上げ、手渡した。【神田五郎】

(『思想運動』1003号 2017年6月15日号)