HOWS2020年度前期講座がスタート
金校長、ウリハッキョの意義と思想を熱弁

五月九日、一三時よりHOWS二〇二〇年度前期の開講講座が開かれた。当初は朝鮮大学校の金勇大(キム‐ヨンデ)准教授の講演を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で金准教授が参加できず、急遽、金有燮(キム‐ユソプ)千葉朝鮮学校校長の講演を中心としたプログラムに変更となった。
主催者挨拶に立ったHOWSの広野省三事務局責任者は、「HOWSはスタートから二一年目を迎える。コロナ感染予防のために通常とは違って定員を二〇名に絞り開催時間も短縮して行なっている。コロナの問題を通して、労働者人民の生命や生活より金儲けを優先させる資本主義社会の本質が、よりはっきり見えてきた。安倍政権の無能無策を非難しているだけではダメだ。この間の『自粛』状況の中で、支配階級は自分たちの思いどおりに人民を飼い慣らそうとしている。HOWSはこうした状況にあっても決して縮こまることなく、活動を進めていく」と述べた。
次に、千葉朝鮮学校に入学した小学一年生四人の一年間の成長を記録したDVD『朝鮮人になるということ』(撮影=石井政和・編集=徐尚輝)が上映された。心温まる場面の数々、しかしその中にも日本社会の差別性を的確に批判する観点が貫かれた作品だった。
在日三世である金有燮校長は、〈私にとってのウリハッキョ(私たちの学校)、(朝鮮学校)〉と題して講演をされた。内容は大きく(1)在日一世に対する思い、(2)ウリ家族とウリハッキョ、(3)朝鮮学校での学び、(4)現在の朝鮮学校の危機、(5)今後の可能性、突破口、に分かれ、戦後何ひとつないところから手作りで朝鮮学校を築き上げていった一世たちの努力、民族教育への使命感、それを引き継ぎ活動していくことの意義、思想を熱っぽく説得力をもって語った。困難な現状を突破していく基本的方向性として、日朝連帯、南北統一、人材育成の三点をあげ、最後に「朝鮮学校が元気な日本社会は、日本人マジョリティーにとっても必ず健全で心豊かな社会であろう」と結んだ。日本人民の姿勢を厳しく問うた発言に深く共感した。開講講座にふさわしいたいへん立派な講演であった思う。
日本政府の一貫した朝鮮敵視政策、とりわけ朝鮮高校・幼稚園の無償化除外に現われている近年の攻撃の強まりによって、朝鮮学校は現在非常に危機的な状況におかれている。今次のコロナ危機はその状況(とくに財政的困難)にいっそう拍車をかけている。学校を存続させるために朝鮮学校の教員たちは文字どおり身を削るような努力をされている。財政面の支援は待ったなしの喫緊の課題だ。今講座の会場でも、千葉ハッキョの会の方から千葉朝鮮初中級学校支援のカンパが呼びかけられ、一八名一七万七〇〇〇円の参加があった。カンパ活動は継続される。先に紹介した『朝鮮人になるということ』の映像そして本講座を記録したDVD(近く完成。一一三分・送料別一〇〇〇円)の売り上げの一部は千葉朝鮮学校の支援カンパとなる。ぜひ購入し学習会等で活用してほしい。詳しくはHOWS事務局まで。 【編集部】

(『思想運動』1053号 2020年6月1日号)