HOWS講座
『沖縄と本土 一緒に闘う』(2020年4月制作=湯本雅典)を上映
制作の湯本さん、石垣の闘いを語る  
                     
 五月二十二日㈯のHOWSは、湯本雅典企画・撮影・編集のドキュメンタリー映画『沖縄と本土 一緒に闘う』を上映した後、湯本さんの報告を聞いた。この映画は、二〇一八年十二月~二〇一九年十二月に撮影され、二〇二〇年四月に完成した。この日の講座の当初の講師、金治明さんがコロナ感染拡大の影響で沖縄から参加できず、このプログラムに変更となった。
 二〇一七年末から普天間基地に隣接する緑が丘保育園への米軍による落下物および普天間第二小学校の校庭への米軍ヘリの窓枠落下事件が立て続けに起きた。映画では、この事件に対する保育園児の母親たちとそれをサポートする園長の闘いが描かれている。
 続いて石垣島の自衛隊配備の問題に焦点が当てられる。琉球弧への自衛隊およびミサイル配備(スタンドオフミサイルの配備にまで言及している)の問題についての解説に続いて、石垣島で農業に従事する金城龍太郎さんたち若者の自衛隊配備をめぐる住民投票実現に向けた終わらない闘いが紹介された。「石垣市住民投票を求める会」は、石垣市の先進的な「自治基本条例」に基づいて署名運動を行ない、投票人口の三分の一の署名を集めて住民投票を求めた。中山市長は、市議会にかけたが一〇対一〇で表決が定まらず、公明党の議長採決で否認された。「自治基本条例」は、署名には実行に対する市長への法的拘束力を定めている。若者たちは、署名の実施を裁判に訴えたが、福岡高裁那覇支部は、住民投票の規則を定めるためには議会の過半数の賛成が必要との判断を下した。かれらは、さらに住民投票の権利を憲法に求めて、新たに最高裁に提訴している。湯本さんがいまもっとも注目している問題であり、裁判の結果が待たれる。
 沖縄にある日米の基地や基地建設によって起こるさまざまな問題を通して若者たちが目覚めて行動を起こしていく力にこの作品の力点が置かれ、それが映画を見るものに希望を与えている。イージスアショア配備に反対して立候補した若い二児の母が、秋田県の国政選挙に当選したドキュメントにも同じ視点がある。
 さらに「重要土地調査規制法案」をめぐる政府自民党の動きの紹介には、コロナ騒動に紛れてかれらが進めている基地反対運動への弾圧法に対する強い危機感がある。この法案では、規制の範囲は、一キロメートル、離島は全体が対象となる。この地域の基地監視行為や搬入阻止闘争が禁止行為とみなされれば、辺野古や離島での抗議行動も規制の対象となり、罰せられる。恐るべき法案がいま国会に上程されている。沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックは、国会前行動を呼びかけ、参加を求めている。
 この映画の上映会には、湯本さんが出席して解説するとのこと、ぜひ活用してほしい。
【阪上みつ子】