防衛省へのHOWS抗議申し入れ書
辺野古基地建設を断念せよ                         
 以下は、防衛省へのHOWSの抗議申し入れ書。首都圏のネットワークである辺野古への基地建設を許さない実行委員会が主催する月例の防衛省抗議・申し入れ行動にて読み上げ、担当者に手渡した。 【編集部】

 防衛大臣 岸信夫 様
 
 沖縄戦の犠牲者を悼む慰霊の日を前にした六月十六日午前二時二八分、「重要施設周辺および国境離島等における土地等の利用状況の調査及び規制等に関する法律」が参議院で可決、成立した。
 「重要施設」は何か、刑罰の対象となる、施設の「機能を阻害する行為」は何か、そのための調査内容とはどういうものなのか、すべてがあいまいで、国会のチェックも及ばない。政令か首相の判断まかせ、国家権力のフリーハンド法だ。全国すべての基地や原発周辺で、被害を受けている地域住民を監視して、声をあげる住民を恫喝し、黙らせることを目的にした法であり、なかでも沖縄をまるごと監視し、基地反対運動をつぶし、軍事要塞にするための悪法である。
 土地・建物の所有者や周辺の人々には情報提供を義務づけ、従わなければ処罰する。住民の間に不信を持ち込み、密告を強いる。収集した個人情報はデジタル法と連動して政府が一括管理する。首相は、施設の機能を阻害する名目で土地利用を制限したり、売買契約の届出を義務付けて応じない人には刑罰を下すこともできる。
 岸防衛相は、法案審議で現地・現況調査に防衛局職員、自衛隊員が携わる可能性を示唆した。まさに戦時法だ。思想・良心の自由を保障した憲法第一九条、自由権規約第一八条に違反し、プライバシーや財産を侵害する恐ろしい法律である。わたしたちは黙っていない。重要土地規制法撤廃!
 六月四日には、基地による環境破壊で米軍や政府を告発してきた蝶類学者の宮城秋乃さんが、北部訓練場の返還地で見つけた空き缶など、米軍の廃棄物を訓練場メインゲートに置いたことが、威力業務妨害などにあたるとして沖縄県警が強制捜査、所持品を押収、取り調べする事件が起きた。
 「重要土地規制法」を先取りしたこの事件を怒りをもって糾弾する。
 アメリカは中国の海空軍を第一列島線に封じ込め、九州、奄美と、沖縄島、宮古島、石垣島、与那国島など南西諸島の自衛隊と在日米軍が通常兵器による全面攻撃をかけるという軍事戦略、PDI構想を打ち出している。米国・バイデン政権と日本・菅政権は、「中国の軍事力増強」「台湾海峡有事」「尖閣問題」を名目に、辺野古新基地建設強行の方針を再確認し、ミサイル配備をはじめとした軍備を増強し、今年に入って日米合同または日米を含む多国間の軍事演習を急速に増加させている。訓練が増えれば、騒音や事故が増える。基地が増強されれば、周辺に住む人たちの危険が増す。沖縄、琉球弧の島じまに住む人たちの命を脅かすために税金を使うな。
 防衛省はさきの安倍政権発足から年々、防衛費を増やし続けている。辺野古新基地建設では改良できない軟弱地盤と活断層で、工事中にも崩壊の可能性が指摘されている。当初想定三五〇〇億円の最低でも約二・七倍の九三〇〇億円、沖縄の試算によると七倍以上の二兆五五〇〇億円を、完成の見込みのない工事に投入しようとしている。軍事訓練でもたとえば五月に陸自「富士総合火力演習」では、二週間で弾薬約七七億円、諸経費約九〇〇〇万円、そのうちたった一日に使った弾薬だけで一〇億六〇〇〇万円が浪費されたことが報道された。
 巨額の税金を湯水のように、破壊と殺りくのために使うのはやめろ。コロナ対策や災害支援、社会保障にこそ税金を回せ。
 日本政府・防衛省は、戦争政策をやめ、軍事演習をやめ、基地をなくせ。辺野古新基地建設を断念せよ。ミサイル配備を中止しろ。
 以上
 二〇二一年七月五日
 本郷文化フォーラム・ワーカーズスクール(HOWS)